Archive for December-2006

ロッキー5 最後のドラマ

2006-12-05 17:00:00

スポーツの世界で、日本代表のチームや選手が負けると、ハングリー精神が足りない、というようなことをよくいわれる。日本では、試合に負けても、食べることには困らない。だから勝ちに対する意欲が弱いのだ、と。たしかに一理あるとは思うが、日本人=ハングリー精神に欠ける、というのはどうだろう。食べるものには困らないかもしれないが、劣等感を抱えている人は少なくないはずだ。その劣等感から、強烈なハングリー精神が生まれることは大いにあると思う。とはいえ、勝利をつかむためにハングリー精神が必要不可欠な要素であることは間違いない。
 
特にハングリー精神が重要視されるのが、ボクシングだ。「ロッキー5」にこんな言葉がある。アメリカンドリームをつかんだロッキーを尊敬し、弟子入りを志願するトミー。一度は断るロッキーだが、トミーは食い下がる。自分に似た貧しい境遇とチャンピオンになりたいという熱い欲求。ロッキーはトミーの心に過去の自分を見る。そしていうのだ。
 
「Are You Hungry?(腹減ってるか?)」と。要するに、飯を食べさせてやるから家にこい、つまり弟子入りを認める、ということなのだけれど、このときのロッキーの言葉には、「勝者になる資格はあるのか?」という意味も込められていたのではないだろうか。

Category : 映画

ドラえもん のび太とロボット王国

2006-12-10 17:00:00

男性なら、車やバイクをはじめて手に入れたときの気持ちが分かると思う。「どこへでもいける」という開放感と高揚感は、比べるものがちょっと思いあたらないくらいに強烈だ。僕がはじめて手に入れたのは、ホンダのDio。友達のお下がりだったけれど、うれしくてうれしくて、どこへいくにもDioに乗っていくようになった。大学へ、バイトへ、近所のコンビニへ。雪が降った日はさすがに無理だったけれど、それ以外は本当に毎日、Dioと一緒にどこかへ出かけた。
 
でもある日悲劇が起こった。事故ったのだ。僕は頭を6針縫い、Dioの車体はねじ曲がった。病院から帰ってきた僕がDioを修理に出そうとすると、バイクショップのお兄さんは、新しいの買ったほうが安いっすよ、という。
 
このときの僕の気持ちを的確に表した一言がある。映画「ドラえもん のび太とロボット王国」のなかで、ロボットは人間に従う道具であるべきだという意見に対し、のび太は叫ぶ。 
 「ちがう!ドラえもんは道具じゃない!友達だ!」
 
僕もお兄さんに「ちがう!」と叫びたかったが、「マジすか?あぁ~…でもやっぱ直してください」というにとどめた。さすがに小学生と同じセリフはいえない。

Category : 映画

さらばハイセイコー

2006-12-15 17:00:00

社会に出て、会社に入ったとき、お酒を飲む機会が多いことに驚いた。仕事が終わると毎日のように、居酒屋に直行するのである。僕を飲みに誘うのは、上司のTさん。Tさんは酔うと必ず昔の話をする。「こんなすごい経験をしたことがある」とか、「あのときああなっていれば…」とか、そういった類の話である。僕は人の話を聞くのが好きだ。一般的には「うざい」といわれるであろう、酔ったTさんの話も苦ではなかった。ただ、Tさんとお酒を飲むと、僕は必ず悲しい気持ちになった。
 
寺山修司がこんなことを書いている。「さらばハイセイコー」という詩の一節だ。
「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」。
 
僕が悲しい気持ちになったのは、要するにTさんの話に夢がなかったからだと思う。そして、意外というかなんというか、寺山修司のこの言葉を僕に教えてくれたのは、ほかでもないTさんなのである。夢がないと知りつつも、毎日お酒を飲み、過去を振り返らざるを得ないTさんの気持ちを考えると、僕は今でもやるせない気持ちになる。

Category :

レオン

2006-12-20 17:00:00

好き嫌いというのは、はっきりしているほどいい。あまり露骨に態度に表すと人間関係に支障をきたすことがあるので、適当に折り合いをつけなければならない。けれど、そのバランスはけっこう難しい。やりすぎはいけない。少なくとも自分のなかではしっかりと区別しておかなければいけない。周りに合わせて自分の好き嫌いをごまかして生きていると、そのうち何を好きなのか、何が嫌いなのか、自分でも分からなくなってしまう。価値観は人さまざまで、どんな価値観でもかまわないと思うけれど、好き嫌いの順位ははっきりしておかないといけない、とにかく。
 
リュック・ベッソン監督の傑作、「レオン」にこんなシーンがある。人を殺すことについて、講釈を垂れるレオンに対し、マチルダは自分のこめかみに銃を当てていう。
「私が欲しいのは愛か死。それだけ」。
マチルダにとってはなによりも愛が大切。極端な例ではあるけれど、こんなふうにはっきりいえるほど、大事なものがあるというのはうらやましいことだ、と思う。

Category : 映画

ロッキー4 炎の友情

2006-12-25 17:00:00

アドバイスというのは、具体的で分かりやすいものでなくてはならない。たとえば恋愛の相談。彼氏とうまくいかないと愚痴る女に対して、「大変だと思うけどまあ頑張ってうんぬん」。それではダメだ。相談者の気分はすっきりするかもしれないが、問題は解決しない。「別れなさい」なり「二人で話し合ったら?」などの解答が好ましい。
 
僕はロッキーシリーズが好きである。シリーズの最高傑作という人も多い「ロッキー4」で、宿敵・ドラゴにめった打ちされたロッキーは目を傷め、相手の姿が3つに見えるという状態に陥る。ロッキーのパンチが空を切る。ドラゴのパンチがクリーンヒットする。そのような危機的状況に対して、セコンドについていた義兄のポールのアドバイスが秀逸だ。
「真ん中を狙え!」という。
 
ここで「頑張れ!」だの「気合だ!」といっていたら、たぶんロッキーは負けていたのではないだろうか。ジョークっぽく事態の深刻さを否定しつつ、実は的確。理想的なアドバイスだと思う。

Category : 映画

ドラッグストアカウボーイ

2006-12-30 17:00:00

妙に心に残る言葉がある。なぜだか分からないが、心に響く言葉。「ドラッグストアカウボーイ」にこんな言葉が出てくる。
「鏡の裏側は見てはいけない。それは自分の後姿だからだ」
 
この映画は縁起担ぎのような言葉がいくつも出てくるのだが、なぜかこの言葉は特に印象深く心に残った。自分の後姿。見たい気もするが、見てはいけない気もたしかにする。「タブーに触れる」という言葉がびったりなこの感じ。なんだろう?好奇心と恐怖心が混ざり合う変な感情。いつか感じたことがある。記憶の糸をたどっていくと、小学校のころの記憶だった。
 
女子の間でこっくりさんが流行っていたのだけど、僕のなかではそれは魅力溢れるタブーだった。そこにあるなにか神秘的なものについて知りたくてたまらないのだけれど、踏み込んだらとりかえしのつかないことになるような気がしていた。
 
ちなみに映画に出てくるタブーのひとつに「ベッドの上の帽子」というのがある。ベッドの上に帽子を置くと、とてつもない災いが訪れるというのだ。映画の登場人物のひとりは、その禁を冒し、最悪の結末を迎える。というわけでこの映画を見て以来、僕の部屋には鏡もベッドもない。

Category : 映画

1

footer ads here Powered by ちびログ
footer ads here