麻雀放浪記
2006-11-01 17:00:00 Category : 小説
高校卒業後、何年かギャンブルに明け暮れていた時期がある。
種目はパチンコと競馬。
パチンコは「釘」さえ読めれば、まだ勝てる時代だった。
月曜日から金曜日まで、毎日10時間、パチンコ台と向き合っていた。
毎月50万円以上の水揚げがあった。
今思えば、ハタチ前にしては破格の稼ぎだったが、当時は全然足りないと思っていた。
県内屈指のバカ高校を、一緒に卒業した友人たちの就職先は、主にブルーワークだった。
郵便局や水道局など、「堅い」職業に就けた者は、ほんの一握り。
どっちにしても、狭くてぬるい地元からは抜け出せない。
俺たちみたいな半端者が、でっかい成功を掴むには、もっともっと金が必要だ。
土曜日と日曜日は、いつも競馬場にいた。
パチンコで稼いだ50万円は、いつも馬券という名の紙くずになった。
100万円単位の払い戻ししか、眼中になかった。
負ければ負けるほど、絶望の中から闘志が沸いてくる。
そのうち馬の顔なんか見たくもなくなった。
でも平日になると、競馬場が恋しくなった。
ある日、公務員になった友達と飲んだ。
給料はそこそこ。ボーナスも出た。しかも仕事は楽。
毎日定時に帰っては、合コンに励んでいるらしい。
お前も頑張れよ、と言われた。
お前こそ頑張れよ、と思った。
ポケットにはいつも、阿佐田哲也の「麻雀放浪記」が入っていた。
自分の女を売ってまで、バクチを打ち続けるドサ健に憧れた。
安定をよしとする周囲の声に、彼はこう叫んだ。
「手前等にできることは、長生きだけだ!」
その言葉だけが、僕の頼りだった。
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